【海洋ジャーナリスト瀬戸内千代の「もっと知りたい!MSC」】
01

サステナブル・シーフード・ウィーク(SSW)2019」のイベントとして、10月19日(土)にスペシャルゲストが来る親子対象のお料理教室が開かれたので、お邪魔してきました。写真たっぷりでレポートします!

SSWロゴ

SSWキャンペーンロゴの「サスティーン」(左)と「ナブルーン」(右)

テーマは、持続可能な水産物を「楽しく!おいしく!」。
開催地は、MSC漁業とASC養殖業の両方がある、国際水産認証の先進地「宮城県」です。

03

会場は、JR仙石線・福田町駅から徒歩7分の「田子市民センター」(仙台市宮城野区田子2-4-25)。午前10時過ぎ、少しずつ参加者が集まってきました。

04

ふだん市民センターを利用している親子など、ご近所の方々を中心に、計28名(大人13名、子供14名、2歳児1名)が参加されました。

05_n

調理台には、おいしそうな食材が勢ぞろい。

06

お近くの塩釜から早めに来場し、皆さんの試食用のMSC認証カツオを、自らさばいてくださったゲストスピーカーのお一人。後ほどご紹介します!


お料理の前に、MSCとASCとは?

いつの間にか会場は参加者でいっぱいに。イベントのスタートです!

まず、MSCやASCの認証を取得した水産物(サステナブル・シーフード)を使った料理教室ということで、天然や養殖の魚介類に認証が求められる背景などを、スタッフが説明しました。

07

MSC日本事務所の仲山さんは、クイズを交えてMSCについて解説。続いて、ASCジャパン代表の山本さんが、両認証の違いを子どもにも分かりやすくお話ししました。

08

地元のMSC&ASCヒーローが登場!

この写真でお二人が持っているのは何でしょう?

ASCの山本さん(左)が持っているのは、ASC認証の石巻のカキ。
MSCの仲山さん(右)が持っているのは、MSC認証の一本釣りカツオです。

09

そして、会場には、その生産者さんたちが来てくださいました!

まずは、カツオ・ビンナガ漁業でMSC認証を取得し、MSCブログにもこちらの記事など度々登場していただいている株式会社明豊(めいほう)の社長、松永賢治さんのお話です。

10

「うちはMSCの認証をもらった漁業をしています。縦60mぐらいの大きな一本釣り漁船で1~1.5カ月ぐらい太平洋に出て漁をします。約30人が船の中で暮らし、昼は魚を獲り、それを凍らせて塩釜に持って帰ります。3隻の一本釣り船を所有していて、年間5000トンのカツオを獲っています。世界で300万トンも獲られているので、ほんの一部です。大きな網で獲る漁業が主流になり、一本釣りは日本とインド洋のモルディブなどに少しあるぐらいです。効率が悪いから減ってきているのです。日本の一本釣り船は約40年前まで100隻ほどありましたが、今は21隻しかありません」(松永さん)

最近はヘリコプターで空から魚群を探す大きなまき網船も登場し、カツオは海の表層を泳ぐ回遊魚なので、いれば見つかってしまうそうです。松永さんは、今は豊漁でも、このままでは枯渇するのではないかと心配しています。

「一本釣りで獲ってきたものを皆さんに食べていただければ、それだけ船の経営も安定して、一本釣り船が増えていく。そういう循環になれば良いのですが」(松永さん)

明豊漁業が一本ずつ大切に獲ってきたMSC「海のエコラベル」付きのカツオは、全国のイオンなどに売っています。選んで買う――それが私たちにできる応援です。


続くテーマは、養殖のASC認証。カキ養殖でASC認証を取得した宮城県漁業協同組合 石巻東部支所の支所長、阿部晃佳さんのお話です。

11

「東日本大震災後、カキ生産者が減り、値段も安くなってしまっていて、このまま産業がなくなって消費者の皆さんにもカキを届けられなくなってしまうのではないか、という思いから、ASCを取得しようと思いました。ASC認証が国内外の注目を集めていること、認証を取得したカキの取引が増えていることを知って、2018年4月に私たちもASC認証を取得しました」(阿部さん)

石巻は養殖カキの一大産地。130人もの漁業者さんが参加する3つの支所で、宮城県のカキの半分をつくっているそうです。そして、その規模の養殖場が、まとめてASC認証を取得したわけです。

ASC認証のカキと言えば、同じ宮城県の南三陸町戸倉のカキ養殖が、先行してASC認証の日本初取得を果たしています。巨大津波で大変な思いをされたカキ漁業者さんたちが、環境にも人や地域にも良いカキ養殖を国内外に発信できる形で再起しているのです。

12

MSCやASCのような国際認証の厳しい監査を1年ごとに受け、定期的に有料で更新していくご苦労は生半可ではありません。認証ラベルの付いた水産物は値段が少々高い場合もありますが、その小さな認証ラベルの背景には、海の環境や産業をきちんと未来に残そうとする漁業者さんたちの熱い思いがあります。それを私たちが知ることの大切さを、改めて感じました。


さあ、いよいよ調理です♪

食材スライド1

今回の料理教室には、サステナブル・シーフード・ウィーク協賛企業から以下の「サステナブル・シーフード」が提供されました。

  • イオン株式会社より、ASC認証生サーモン
  • 東洋水産株式会社より、MSC認証いくら醤油漬け
  • ニチモウ株式会社より、MSC認証たらこ(スケトウダラの卵)
  • 株式会社ニチレイフレッシュより、ASC認証ブラックタイガー
  • 三菱商事株式会社より、ASC認証パンガシウス

とても豪華なランチになりそうです。

講師は、旬菜コーディネーターで管理栄養士の浅野ゆか先生です。エプロン姿のにこやかな先生の登場で、一気に会場が和みました。

14

今日のために特別に考案されたレシピに沿って、3つのメニューを作ります。まずはデモンストレーション。

15

ASC認証パンガシウスは水分を取ったら軽く塩こしょうして下味を。浅野先生による、レシピにはない料理の豆知識が散りばめられた一連の説明に、皆さん集中しています。

16

MSC認証たらこの身は、包丁で皮から、こそげ取ります。ひと通り、先生の手元から学んだら、各調理台で一斉に作業が始まりました。

17

ASC認証エビ(ブラックタイガー)の殻をむいて、尾の剣先を折り、背ワタを取ります。さらに、片栗粉と塩とお酒を混ぜたものをまぶしてから洗い流して汚れをきれいに。塩こしょうで下処理完了。

18

脂がのったASC認証の生サーモンは、お塩をパラパラ振った後、レモン汁で軽く〆て、炊きあがった味付けごはんに混ぜます。余熱で火が通るように薄めにカットするのがコツ。

どこの調理台でも、お子さんたちが大活躍!

19
20

お父さんと息子さんのコンビも息ぴったりです。

21
22

ASC認証パンガシウスやASC認証エビはオリーブオイルで焼いてムニエルに。「パンガシウス」って初めて聞いた!という声が多数でしたが、実は「白身魚」として流通していて既に結構ポピュラーな魚。期待通り、ふっくら焼き上がりました。

23

ムニエルには、色も美しいピスタチオを添えます。上手な手付きで細かく刻んでいます。

24_n

主催のサステナブル・シーフード・ウィーク2019実行委員会(MSC日本事務所、ASCジャパン)の他に、株式会社日本食糧新聞社ふれあいクッキング局の皆さんも運営として参加。全員分の大量のMSC認証カツオを切り分けてくださいました。

そろそろ出来上がり。盛り付けます。

25
26
27

MSC認証いくらをトッピング。

28

はい、完成!「ASC認証サーモンとMSC認証いくらの混ぜご飯」。プチっとした食感のMSC認証いくらの塩気と粗びきこしょうと、シソの香りがアクセントです。

29

「ASC認証パンガシウスとASC認証ブラックタイガーのムニエル ピスタチオ仕立て」

30

「MSC認証たらことにんじんのさっと煮」。細切りニンジン、しらたき、たらこを和えて火を通したシンプルなサイドメニューですが、事後アンケートの結果、好評だった一品です。

31

手を合わせて、「いただきます!」

32

いよいよ、実食タイム!


33

「ごちそうさま」の後は、サステナブル・シーフードを学んだお子さんたちに、浅野先生から修了証が手渡されました。

34

先生と一緒に「フィッシュフェイス!」

そう、今年のSSWは「フィッシュフェイス(#fishface)」投稿キャンペーンを実施したのです。

35

大人たちの渾身のフィッシュフェイスに食事中のお子さんたちもギョギョッ!!(左から、ASC川田さん、MSC仲山さん、ASC山本さん)

フィッシュフェイスの受賞作は、MSCアンバサダー・ココリコ田中さんとサステナブル・シーフード・ウィーク実行委員会の厳正な審査を経て11月中旬に発表予定。どんなフィッシュフェイスが選ばれるか楽しみですね!


               

MSCに関する詳しい内容は、下記までお問い合わせください。
MSC日本事務所サイト:http://www.msc.org/jp
Facebook: https://www.facebook.com/MSCJapan

東京都中央区日本橋兜町9-15 兜町住信ビル3階
03-5623-2846
MSCJapan@msc.org

               

MSC日本事務所のInstagramアカウント、ぜひフォローをお願いします!
https://www.instagram.com/mscjapan/
Instagram