【フードライター浅野陽子の『海のエコラベル』現場より生中継!】

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MSC日本事務所オフィシャルライターの浅野です。
10月30日〜11月3日、有楽町の東京国際フォーラムで、パナソニック株式会社の創業100周年を記念するシンポジウム「CROSS-VALUE INNOVATION FORUM 2018」が開催されました。その中で行われたワークショプの一つで、
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パナソニックの社員食堂の事例を紹介した「社員食堂からSDGs達成に貢献〜サステナブル・シーフードを社食に導入する意義・手法〜」と題したセミナーが行われ、MSCの石井さんが登壇。
約71名の聴講者が参加した人気セミナーになりました。今回はそのレポートです。

WWFジャパン・三沢さんが「サステブルシーフードの重要性」を簡単にレクチャー

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セミナーでは、MSCの石井さんを含め4人が登壇。パナソニックの社員食堂についての話の前に、「サステナブル・シーフードとはどんなものか」「なぜいま、海の環境を守らなくてはならないのか」という海の現状についてのレクチャーがありました。まずWWFジャパンのシーフード・マーケット・マネージャー、三沢行弘さんが登壇。
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三沢さんは、
・生物多様性が危機にあること
・魚を食べる人が地球規模で急増している一方で、1970年代から世界の水産資源が減少し続け、現在3割が枯渇状態にあること
・MSC、ASCのエコラベルがついた、サステナブル・シーフードを企業や消費者が選ぶことの重要性
などについて、非常にわかりやすくレクチャーされました。
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MSCの取材を始めてからもうすぐ3年になりますが、WWFさんをはじめ、水産業界のプロフェッショナルからこの説明を聞くと、すでに知っていても毎回怖くなり、なんとかしないとまずいという気持ちになります。
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ちなみに2012年のロンドンオリンピック・パラリンピックは、「サステナブル・シーフードをイギリス全土に広められた成功例」。オリンピックをきっかけに、たくさんの有名企業や自治体が「今後は積極的にサステナブルなシーフードの提供を実現する」と宣言したことで、イギリス国内で年間2億食分(!)ものサステナブルなシーフードが提供されるようになったそうです。
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そして日本では今年3月から、パナソニックが社員食堂の食材に、サステナブルシーフードを導入。「このパナソニックの事例を他の企業に広げることで、消費者がサステブルな魚をどんどん選ぶようになることを目指したいです」と締めくくり、三沢さんのセッションは終了。

MSC石井さんより「MSC」についての説明

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次はいよいよMSCの石井さん!MSCとはどんなものか、20年前にロンドンで立ち上がったMSCの歴史や、認証制度の仕組み、「MSC漁業認証」と、小売企業や飲食店などMSCの水産物を扱う事業者に与えられる「CoC認証」の違い、海外と日本のMSCの事例などを解説されました。
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海の環境を守ろう、MSC「海のエコラベル」の付いた魚を選ぼう、という動きは世界中に広がっています。
この日(2018年11月2日)現在
・MSC認証漁業数:359
・認証漁業による年間漁獲高:960万トン
・世界の総漁獲量の約12%
で、
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MSC製品を導入する企業でCoCを取得した数は世界で4200企業まで増えていますが、これは、世界最大の小売企業「ウォルマート」が2006年に自社で取り扱うシーフードをサステナブルに切り替えると宣言したことで、他の企業も追随したそうです。
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日本でも、当ブログで何度かご紹介していますが、イオンや日本生協連、セブン&アイホールディングス、マルハニチロ、ニッスイなど大手企業が取得し、その動きは確実に広がっています。12月からはセブンイレブンでもMSC「海のエコラベル」付き製品が店頭に並ぶとのこと。
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「私たちMSCジャパンのゴールは、消費者にエコラベル付き製品を選んでもらうことですが、すでにMSCのラベルを知っている、という消費者はまだ多くありません。ぜひ、企業側から消費者に積極的に呼びかけていただきたいのです。そういう意味で、今回のパナソニックの取り組みは非常に喜ばしく、私たちも大きな期待をしています」と石井さん。

ASC山本さんが「養殖のASCエコラベルと、MSCとの違い」を解説

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続いて、養殖のエコラベル「ASC認証」について、当ブログでも何度も登場している、ASCの山本さんが登壇。
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「海から獲れる天然の魚が減っているなら、人工で作る魚を増やせばいいのでは?」とつい言われてしまう養殖ですが、
・養殖の魚を育てるにも、海から獲れるイワシなどの魚がエサとして必要になること
・養殖業が環境に与える影響(WHOが禁止している抗生物資などを与えている漁業者も、日本に少なからずいる)
など、実は複雑な問題がいろいろあります。
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そういった地球への環境の配慮や、養殖業で働く人の労働環境なども含め、持続可能な養殖業が行われているかチェックするための認証制度としてASCがある、と説明されました。
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現在、ASC認証の養殖場は世界39カ国にあり、日本では2016年に宮城県の「戸倉カキ」が国内初の認証を取って以来、3社が認証を受けています。パナソニックの社員食堂でも、MSC同様、ASC認証のシーフードも多く使われています。

パナソニック喜納さんが「社員食堂へのサステナブルシーフード導入」の取り組みを紹介

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そして最後に、パナソニックのブランドコミュニケーション本部、CSR・社会文化部の事業推進課課長、喜納厚介さんが登壇。
なんと約1世紀前から「事業を通じて人々の暮らしを良くし、世界の発展に貢献する」と考えて経営を行ってきているそうで、現在使われているブランドスローガン(CMでよく流れる「A Better Life, A Better World」のこと!)にも、その考えが受けつがれていること、
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SDGsの採択、30年以上オリンピックのワールドワイド公式パートナーを務めてきたこと、「海の豊かさを守る活動」にも取り組み、過去20年間MSCとASCを間接的に支援してきたことなどを話されました。
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今回の社員食堂の導入は、そんな先進企業であるパナソニックの社員各人にも、サステナブル・シーフードの重要性を知ってもらい、MSC認証、ASC認証の認知度を上げることを通じて「食堂でエコラベルがついたシーフードを選ぶ」というと消費行動の変革を起こし、持続可能な社会の実現に貢献したい、全国に約10万人いる社員とその家族や友人にもサステナブル・シーフードを広げたい、という思いから発案されたそうですが‥‥
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社員食堂への継続的なサステナブル・シーフード導入という取り組みは「日本初」のため、ご担当いただいている給食会社の方々には、「給食業界初」のCoC認証取得を

決断いただく必要があったため、「なぜ、今、サステナブル・シーフードの導入するか?」という取り組みの意義の説明から始め、会社としてサステナブル・シーフードに前向きに取り組むとの意思決定をしていただかないといけなかったため、約半年間かかったそうです。

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そして約半年間の準備期間を経て、今年3月から毎月1回、大阪の本社の社員食堂への導入がスタート。カレーやナシゴレンなどの人気メニューに使ったり、MSCのホタテをざるそばの具材にする、たまには魚だけでなく、フライドチキンなど肉のメインと組み合わせて提供するなど工夫を重ねたとのこと。
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本ブログ過去記事「パナソニックの社員食堂で、MSC認証水産品の導入開始!」より

約半年経過したいまは、サステナブルシーフードのメニューは提供開始から約半年間「選択率3割」を継続して達成。毎回3割をも超える人気メニューはなかなか生まれないそうで、また「パナソニックが社員食堂にサステナブルシーフードを導入」のニュースは世間でも話題になりました。
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本ブログ過去記事「パナソニックの社員食堂で、MSC認証水産品の導入開始!」より

今後は、東京オリンピック開催の2020年までに、全国に120箇所ある社員食堂すべてにサステナブル・シーフードのメニューを導入することを目標に、月1回提供している現在のペースをもっと増やすこと、新規メニューを開発すること、などが課題。
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「社員食堂へのサステナブル・シーフードの導入は、社内の調整、社外でもCoC認証の取得や材料に使う魚の調達、メニューに関する議論など、やるべきことが山積みになります。全国でそれを初めて手がけた先駆者として、このノウハウを他社のみなさまにも共有し、日本国内での輪を広げていきたいと思っています」(喜納さん)
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現在の海の危機的状況を背景に、MSCとASCのサステナブルシーフードを活用し、社員食堂に導入されたパナソニックさんの事例。取材で海の現状を知ると、なんとかしなくてはと焦りますが、こうした大企業が大きな変革を起こそうとされる姿には、希望が見えて気持ちも明るくなります。社員食堂への導入、ぜひいろいろな企業にも参加していただけたら嬉しいですね!

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Writer:浅野陽子 Yoko Asano
浅野プロフィール_small
フードライター&エディター。『dancyu』『おとなの週末』『ELLE a table』『日経レストラン』など料理専門誌に多数執筆し、“食”限定の取材歴19年。
2015年にMSC日本事務所の初代アンバサダーに就任し、現在はMSC日本事務所のブログの公式ライターを務め、国内の漁港、飲食店、小売企業などを取材している。個人ブログ「フードライター浅野陽子の美食の便利帖」も更新中。
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