【海洋ジャーナリスト瀬戸内千代の「もっと知りたい!MSC」】
こんにちは。海洋ジャーナリストの瀬戸内千代です。
昨日アップした前編では、明豊漁業の松永社長に、MSC認証を取得したその後についてお話を伺いました。
さらにこの日は、第三十五昇喜丸の指令室で、漁労長の佐藤さんと機関長の大山さんにもお話を伺う機会に恵まれました!

まず、漁労長の佐藤幸宏さんが見せてくださったのは、魚群探知機のモニターのようなもの。でも映っているのは魚影ではなく、陸(おか)からインターネットで送られてくる水温分布データで色分けされた図です。
「カツオが好む水温があるんで、潮を読むわけです。魚群に当たるのは、毎日500kmほど走って、少ない時で1回、多い時でも10回あるかどうか」
漁労長は漁業を指揮する船頭(せんどう)であり、乗船している漁師27人ぐらいが、漁労長の掛け声で一斉に甲板に並び、釣り竿を振り始めます。佐藤さんは漁師歴25年で、漁労長を務めるのは4年目。長年の経験とカンが物を言う世界です。
6~11月は日本の東沖が一本釣りの主な漁場で、今(取材日:7月31日)は、南から上がってきた初ガツオを獲る季節。この後1カ月ずつ、ほぼひっきりなしに海に出て、秋に脂をたくわえた戻りガツオを獲ります。年に1カ月ほど、船がドックに入る間にまとまった休みを取り、それ以外の時期は、カツオを追って、オーストラリア辺りまで遠征するそうです。
魚群に当たれば、同じ航海でビンナガも釣るのだとか。ちょっと意外な感じがしましたが、カツオの英名は「skipjack tuna(スキップジャック・ツナ)」で、マグロと同じスズキ目サバ科の魚。同じ漁船で同じように獲れるのですね。明豊漁業の一本釣りが、ビンナガとカツオ、両方でMSC認証を取得できたのも納得です。
「今回の水揚げは約250トン。予定通りかって? 畑じゃないから計画なんてないよ。まぁ、博打と一緒やね(笑)。当たる確率を高めるために情報を集めるわけでね」

漁師のうち15人は南太平洋のキリバスから来た20-30代の若者。日本かつお・まぐろ漁業協同組合の学校で日本語を学んで出稼ぎにやってきた彼らは、故郷の家族の生活も背負っています。そして漁労長は、そんな彼らを含む船全体の命運を左右する重い責任を背負っています。

松永社長(左)が「ゆーちゃん(漁労長の佐藤さんのこと!)は、いわばピッチャーだ」と言うのを聞いて、すかさず機関長の大山さんが「ほな監督は社長や」と返す微笑ましい一幕も
機関長さんも、これまた大変な仕事。安全な航海と獲った魚の管理の責任を持つ立場です。わずかな帰港期間も船のメンテナンスがあるので、ほぼ休みなし。伺った日も、機関長の大山秀人さんは、すぐに作業に戻られたので、お写真を撮りそびれてしまいました。

というわけで後からいただいた大山さんの写真。優しい笑顔が印象的な機関長さんでした!
餌の鮮度を保ち、船がしっかり魚を追えるように機器類の万全を期して、長い漁期を全力で支える機関長さん。大山さんの機関長歴は、なんと25年。三重県志摩の真珠養殖家の出身で、水産高校を出てからずっとカツオ漁船に乗って、四半世紀もハードワークを続けてきた方です。
MSC取得後の変化を聞くと、「取得したからでもないけど、さらに品質の向上は図らないかんですね」と大山さん。餌の状態や獲った魚の温度管理など、従来以上に気を配り、おいしい魚を届けてくれています。
松永さんの「うちの一本釣りの試みが、どう展開していくか、今後4年、5年、見ててくださいね」という言葉が、とても心に残った今回の取材。第三十五昇喜丸の温かい皆さんのおかげで、女性の私も、厳しい海の男たちの仕事現場を垣間見ることができました。
明豊グループの皆さん、ご協力ありがとうございました!
MSCに関する詳しい内容は、下記までお問い合わせください。
MSC日本事務所サイト:http://www.msc.org/
Facebook: https://www.facebook.com/MSCJapan
東京都中央区日本橋兜町9-15 兜町住信ビル3階
03-5623-2845
japan@msc.org
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こんにちは。海洋ジャーナリストの瀬戸内千代です。
昨日アップした前編では、明豊漁業の松永社長に、MSC認証を取得したその後についてお話を伺いました。
さらにこの日は、第三十五昇喜丸の指令室で、漁労長の佐藤さんと機関長の大山さんにもお話を伺う機会に恵まれました!
頼みは漁労長の長年のカン

まず、漁労長の佐藤幸宏さんが見せてくださったのは、魚群探知機のモニターのようなもの。でも映っているのは魚影ではなく、陸(おか)からインターネットで送られてくる水温分布データで色分けされた図です。
「カツオが好む水温があるんで、潮を読むわけです。魚群に当たるのは、毎日500kmほど走って、少ない時で1回、多い時でも10回あるかどうか」
漁労長は漁業を指揮する船頭(せんどう)であり、乗船している漁師27人ぐらいが、漁労長の掛け声で一斉に甲板に並び、釣り竿を振り始めます。佐藤さんは漁師歴25年で、漁労長を務めるのは4年目。長年の経験とカンが物を言う世界です。
6~11月は日本の東沖が一本釣りの主な漁場で、今(取材日:7月31日)は、南から上がってきた初ガツオを獲る季節。この後1カ月ずつ、ほぼひっきりなしに海に出て、秋に脂をたくわえた戻りガツオを獲ります。年に1カ月ほど、船がドックに入る間にまとまった休みを取り、それ以外の時期は、カツオを追って、オーストラリア辺りまで遠征するそうです。
魚群に当たれば、同じ航海でビンナガも釣るのだとか。ちょっと意外な感じがしましたが、カツオの英名は「skipjack tuna(スキップジャック・ツナ)」で、マグロと同じスズキ目サバ科の魚。同じ漁船で同じように獲れるのですね。明豊漁業の一本釣りが、ビンナガとカツオ、両方でMSC認証を取得できたのも納得です。
「今回の水揚げは約250トン。予定通りかって? 畑じゃないから計画なんてないよ。まぁ、博打と一緒やね(笑)。当たる確率を高めるために情報を集めるわけでね」

漁師のうち15人は南太平洋のキリバスから来た20-30代の若者。日本かつお・まぐろ漁業協同組合の学校で日本語を学んで出稼ぎにやってきた彼らは、故郷の家族の生活も背負っています。そして漁労長は、そんな彼らを含む船全体の命運を左右する重い責任を背負っています。

松永社長(左)が「ゆーちゃん(漁労長の佐藤さんのこと!)は、いわばピッチャーだ」と言うのを聞いて、すかさず機関長の大山さんが「ほな監督は社長や」と返す微笑ましい一幕も
機関長さんも、これまた大変な仕事。安全な航海と獲った魚の管理の責任を持つ立場です。わずかな帰港期間も船のメンテナンスがあるので、ほぼ休みなし。伺った日も、機関長の大山秀人さんは、すぐに作業に戻られたので、お写真を撮りそびれてしまいました。

というわけで後からいただいた大山さんの写真。優しい笑顔が印象的な機関長さんでした!
餌の鮮度を保ち、船がしっかり魚を追えるように機器類の万全を期して、長い漁期を全力で支える機関長さん。大山さんの機関長歴は、なんと25年。三重県志摩の真珠養殖家の出身で、水産高校を出てからずっとカツオ漁船に乗って、四半世紀もハードワークを続けてきた方です。
MSC取得後の変化を聞くと、「取得したからでもないけど、さらに品質の向上は図らないかんですね」と大山さん。餌の状態や獲った魚の温度管理など、従来以上に気を配り、おいしい魚を届けてくれています。
松永さんの「うちの一本釣りの試みが、どう展開していくか、今後4年、5年、見ててくださいね」という言葉が、とても心に残った今回の取材。第三十五昇喜丸の温かい皆さんのおかげで、女性の私も、厳しい海の男たちの仕事現場を垣間見ることができました。
明豊グループの皆さん、ご協力ありがとうございました!















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