【海洋ジャーナリスト瀬戸内千代の「もっと知りたい!MSC」】
前回に続いて、MSC日本事務所の漁業担当オフィサー、高宮城大樹(たかみやぎ・ひろき)さんに、サステナブルな漁業にとって重要な「生息域」と「生態系」の保全についてさらに伺います!

そのことは、MSCが発行したばかりの『環境インパクト報告書2017』にある「世界の広域海洋生態系に占めるMSC認証漁業割合」の図を見ても明らかです。→先日のMSCブログ参照

一方、海の熱帯雨林と呼ばれるほど生物多様性が豊かなサンゴ礁が発達するのは、緯度の低い、暖かい海。まだ、北の海ほどMSC認証が広まっていないエリアです。
「サンゴ礁生態系は本当に重要で、海洋面積のわずか0.2%のサンゴ礁に、全生物の4分の1が住んでいると言われています。でも、そのモニタリングは非常に複雑で難しい」と、サンゴに詳しい高宮城さん。
生物多様性が豊かで漁業も盛んな低緯度海域でこそ、生息域の保護は重要性を増します。ただ、データ収集が進んでいない地域も多くあり、そのような場所では生息域の現状分析も困難。
赤道付近の漁業をサステナブルにしていくことは世界の海洋生態系にとって大切ですが、北の海で開発された従来の漁業認証規準を適用しにくい事情があったのですね。

ⓒNice and Serious/MSC
「そこでMSCの新規準では、リスク評価に基づく審査枠組み(RBF:Risk Based Framework)を新たに取り入れました。通常の規準で要求されるような、生息域に関する蓄積した科学的データが存在しない場合でも、生息する生物の種類・自然要因による影響・生息域の形態など一定の条件を満たしたデータを収集し、それに予防的な分析方法を用いて、漁業が生息域に与えうる影響を把握します。そうすることで、漁業の持続可能性を図る枠組みができるんです」
ここで高宮城さんから、生態系をきちんと管理している漁業の具体例をひとつ。
「オーストラリアのサンゴ礁のバナナエビやクマエビなど、複数種の天然エビを底引き網で獲っている漁業者が、『生態系に基づく漁業管理』のもと、MSC認証を取得しました」
こちらの漁業は、操業海域に存在する配慮すべき生息域や生物群集を、全てマッピングして把握しているそう。それぞれの生息域の状態や変化を把握するため、一定の間隔でモニタリングするための仕組みも持っています。 幅広いデータを収集しているんですね!

オーストラリア北部のMSC認証漁業で獲られた、オーストラリアタイガーえび ⓒMSC
「MSCでは、FAO(国連食糧農業機関)が定めたガイドラインに基づいて、脆弱な海洋生態系(Vulnerable Marine Ecosystems)、略してVMEを定義しています」
FAOは、希少種や、別種の生存に必須の重要な種、成長が遅い種など、守るべき理由のある生き物たちがすむ場所を「脆弱な海洋生態系」と定めています。
例えば、冷水性サンゴはそのひとつ。寿命が非常に長いのですが、成長が遅く再生能力も乏しいため、破壊されると回復に時間がかかってしまいます。
FAOのガイドラインは主に公海における生息域に焦点を当てたものですが、MSCは藻場やサンゴ礁など沿岸や浅瀬の生態系にもこのガイドラインを適用し、VMEを再定義しています。
特別に保護すべき場所をあらかじめ絞り込んで、漁業と生態系保全を効率よく両立しようというわけですね。

前回に続いて、MSC日本事務所の漁業担当オフィサー、高宮城大樹(たかみやぎ・ひろき)さんに、サステナブルな漁業にとって重要な「生息域」と「生態系」の保全についてさらに伺います!

生態系が豊かな海域で、サステナブル漁業を広めるには
英国発のMSCは、欧州や北米など北のほうの海で普及が先行しました。そのことは、MSCが発行したばかりの『環境インパクト報告書2017』にある「世界の広域海洋生態系に占めるMSC認証漁業割合」の図を見ても明らかです。→先日のMSCブログ参照

一方、海の熱帯雨林と呼ばれるほど生物多様性が豊かなサンゴ礁が発達するのは、緯度の低い、暖かい海。まだ、北の海ほどMSC認証が広まっていないエリアです。
「サンゴ礁生態系は本当に重要で、海洋面積のわずか0.2%のサンゴ礁に、全生物の4分の1が住んでいると言われています。でも、そのモニタリングは非常に複雑で難しい」と、サンゴに詳しい高宮城さん。
生物多様性が豊かで漁業も盛んな低緯度海域でこそ、生息域の保護は重要性を増します。ただ、データ収集が進んでいない地域も多くあり、そのような場所では生息域の現状分析も困難。
赤道付近の漁業をサステナブルにしていくことは世界の海洋生態系にとって大切ですが、北の海で開発された従来の漁業認証規準を適用しにくい事情があったのですね。

ⓒNice and Serious/MSC
「そこでMSCの新規準では、リスク評価に基づく審査枠組み(RBF:Risk Based Framework)を新たに取り入れました。通常の規準で要求されるような、生息域に関する蓄積した科学的データが存在しない場合でも、生息する生物の種類・自然要因による影響・生息域の形態など一定の条件を満たしたデータを収集し、それに予防的な分析方法を用いて、漁業が生息域に与えうる影響を把握します。そうすることで、漁業の持続可能性を図る枠組みができるんです」
ここで高宮城さんから、生態系をきちんと管理している漁業の具体例をひとつ。
「オーストラリアのサンゴ礁のバナナエビやクマエビなど、複数種の天然エビを底引き網で獲っている漁業者が、『生態系に基づく漁業管理』のもと、MSC認証を取得しました」
こちらの漁業は、操業海域に存在する配慮すべき生息域や生物群集を、全てマッピングして把握しているそう。それぞれの生息域の状態や変化を把握するため、一定の間隔でモニタリングするための仕組みも持っています。 幅広いデータを収集しているんですね!

オーストラリア北部のMSC認証漁業で獲られた、オーストラリアタイガーえび ⓒMSC
漁業の影響を受けやすい海域は特別に守る
さらにこの漁業者は、「脆弱(ぜいじゃく)な海洋生態系」に、完全禁漁区を設けたといいます。この守るべき海域とは、どんな定義に基づいているのでしょうか?「MSCでは、FAO(国連食糧農業機関)が定めたガイドラインに基づいて、脆弱な海洋生態系(Vulnerable Marine Ecosystems)、略してVMEを定義しています」
FAOは、希少種や、別種の生存に必須の重要な種、成長が遅い種など、守るべき理由のある生き物たちがすむ場所を「脆弱な海洋生態系」と定めています。
例えば、冷水性サンゴはそのひとつ。寿命が非常に長いのですが、成長が遅く再生能力も乏しいため、破壊されると回復に時間がかかってしまいます。
FAOのガイドラインは主に公海における生息域に焦点を当てたものですが、MSCは藻場やサンゴ礁など沿岸や浅瀬の生態系にもこのガイドラインを適用し、VMEを再定義しています。
特別に保護すべき場所をあらかじめ絞り込んで、漁業と生態系保全を効率よく両立しようというわけですね。

ⓒiStock.com/lemga
小規模、多魚種漁業など、これまで認証を取りにくかった漁業者でもMSC認証にチャレンジできるように工夫を重ねているMSC。低緯度エリアは途上国も多いので、取得費用の低減も図っているそうです。
でも、取得しやすくなると同時に審査が「甘く」なっては本末転倒。先ほど紹介した「リスクに基づく審査枠組み」って、大丈夫なのでしょうか?
「生息域と生態系に関しては、多岐にわたる審査項目の中で比較的複雑かつデータが少ないため、審査が難しい部分であることは確かです。しかし、そのため審査が緩くなるわけでもありません。科学的なデータが少ないからこそ、より予防的に審査が行われるため、審査におけるハードルが下がることはないんです」と高宮城さん。

門戸は広げつつ、ハードルは下げない。これ、認証制度にとって非常に重要ですね。
MSCは、様々な漁業者さんの未来に役立つよう審査規準を進化させつつ、規準策定や認証審査の工程が誰からも見える透明性や、多方面から意見を取り入れて改善を重ねる柔軟性を重視しています。
読んでくださっている皆様も、海のエコラベルが本当に持続可能な漁業の証しであり続けられるように、より良い仕組みづくりにぜひご参加くださいね。

高宮城さん、今回は貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました。
では、また次回!
MSCに関する詳しい内容は、下記までお問い合わせください。
MSC日本事務所サイト:http://www.msc.org/
Facebook: https://www.facebook.com/MSCJapan
東京都中央区日本橋兜町9-15 兜町住信ビル3階
03-5623-2845
japan@msc.org
MSC日本事務所のフェイスブックページに「いいね!」をお願いします。
https://www.facebook.com/MSCJapan

小規模、多魚種漁業など、これまで認証を取りにくかった漁業者でもMSC認証にチャレンジできるように工夫を重ねているMSC。低緯度エリアは途上国も多いので、取得費用の低減も図っているそうです。
でも、取得しやすくなると同時に審査が「甘く」なっては本末転倒。先ほど紹介した「リスクに基づく審査枠組み」って、大丈夫なのでしょうか?
「生息域と生態系に関しては、多岐にわたる審査項目の中で比較的複雑かつデータが少ないため、審査が難しい部分であることは確かです。しかし、そのため審査が緩くなるわけでもありません。科学的なデータが少ないからこそ、より予防的に審査が行われるため、審査におけるハードルが下がることはないんです」と高宮城さん。

門戸は広げつつ、ハードルは下げない。これ、認証制度にとって非常に重要ですね。
MSCは、様々な漁業者さんの未来に役立つよう審査規準を進化させつつ、規準策定や認証審査の工程が誰からも見える透明性や、多方面から意見を取り入れて改善を重ねる柔軟性を重視しています。
読んでくださっている皆様も、海のエコラベルが本当に持続可能な漁業の証しであり続けられるように、より良い仕組みづくりにぜひご参加くださいね。

高宮城さん、今回は貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました。
では、また次回!
MSCに関する詳しい内容は、下記までお問い合わせください。
MSC日本事務所サイト:http://www.msc.org/
Facebook: https://www.facebook.com/MSCJapan
東京都中央区日本橋兜町9-15 兜町住信ビル3階
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