漁業担当の鈴木です。
9月前半に、イギリスとスペインを訪問してきました。
これから紹介する「キャパシティ・ビルディング・ツールキット」を用いた5日間の
ワークショップに参加し、そのあと、スペインで始まった「地中海プロジェクト」の
視察に行ってきました。
これまで、MSC認証を取得する漁業の多くは、すでに高水準の資源管理を行なっており、
その取り組みをマーケットに評価してもらうためにMSC認証を取得していました。
現在は、少し違った視点から、MSC認証が注目されています。
それは、MSC認証制度を漁業の改善のために使うというものです。
今年8月、MSCの途上国チームは、キャパシティ・ビルディング・ツールキットを
発表しました。
これは、冊子とワークショップによって構成された一連の漁業改善のための
能力強化プログラムです。
こちらがその冊子。
400ページにわたり、MSC漁業認証の各評価項目に照らし合わせて、
実際の漁業がどのように採点されたかが細かく書かれています。
また、改善の事例やアドバイスも書かれています。

ロンドンで行われたワークショップでは、この冊子を用い、5日間かけて、
1ページ目から順番にさまざまな事例についてグループに分かれて考えました。
参加者は主にヨーロッパの行政関係者やNPO関係者。
漁業の専門家ばかりです。

ヨーロッパの漁業、とくに北欧の漁業は、最先端の資源管理を行なう成功事例として
日本でもよく知られています。
しかし、ヨーロッパ編②で紹介しますが、とくに地中海の漁業は、過剰漁獲が進んでいる
と言われています。
今回の参加者は、このツールキットを用いて、ヨーロッパの漁業改善に役立てよう
という目的で参加していました。
ところで、MSC認証を用いた漁業改善とは、どのように行うのでしょうか?
以前こちらのブログでMSCの審査プロセスを紹介しましたが、MSC漁業認証は
「予備審査」という審査からはじまります。
予備審査では、本審査と同じように審査員が現地を訪問し、漁業の採点を行います。
そして、本審査に入った場合に認証取得が可能か、認証取得が難しい場合は、
どの点を改善する必要があるのかといったことを明らかにします。
予備審査によって改善項目が見つかった場合は、認証取得に向けて改善を行なうわけです。

MSC漁業認証は、漁業にまつわる様々なことを3つの原則によって網羅しています。
原則1では、資源が豊富で、資源管理が有効に行われていることが求められます。
原則2では、漁業が環境に与えるインパクトについて問われます。例えば、混獲される魚種、ウミガメなどの絶滅危惧種、海底環境への漁具の影響、生態系全体のバランスなどが審査されます。
原則3では、漁業に関わる国内外の法的枠組みや、漁業内部の合意形成などが審査されます。
認証を取得するためには、これらの3つの原則が平均的に高いパフォーマンスを示している
ことが必要です。
どれか1つでも著しく欠ける事項があれば、それで認証はできなくなります。
実際の漁業改善においては、予備審査によって、各原則の項目を採点することから
はじまります。
もちろん、そのまま本審査に進み認証を取得する漁業もあります。
しかし、なんらかの課題が明らかになり、認証に向けて改善を行なう漁業も多いのです。
例えば、漁獲の際にたくさんの海鳥が巻き添えになっていることが明らかになった
漁業では、認証取得のために、漁具を改善し、海鳥が死亡しないようにすることも
あるでしょう。
また、混獲される魚種のデータがなく、混獲種へのインパクトが分からないことが認証取得
の妨げになっているような場合には、漁業日誌を義務付けるということもあるでしょう。
こうして、MSCの予備審査が終わり、本審査を目指すために、多くの改善が行われ、
それが漁業の持続可能性につながります。
私は今回、このツールを日本の漁業改善のために役立てたいと思い、
ワークショップに参加しました。
日本の漁業は、下のグラフで示すように、多くの水産資源が低水準の状態にあります。
少ない資源を多くの漁業者で獲りあっても、明るい未来は描けません。
まずは、水産資源を豊かな状態に戻すことが急務なのです。

私たちは、MSC漁業認証の制度が、日本の漁業を良くするためのツールとして使えると
考えています。
ヨーロッパの事例を参考にしてみてはいかがでしょうか?
予備審査についてもっと知りたい方はこちらのブログもお読みください!
次回、ヨーロッパ編②では、地中海の漁業改善に取り組み始めたスペインの事例を
紹介します。お楽しみに!
(下の写真は、ワークショップの参加者の集合写真です。)

MSCに関する詳しい内容は、下記までお問い合わせください。
MSC日本事務所サイト:http://www.msc.org/
Facebook: https://www.facebook.com/MSCJapan
東京都中央区日本橋兜町9-15 兜町住信ビル3階
03-5623-2845
japan@msc.org
MSC日本事務所のフェイスブックページに「いいね!」をお願いします。
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9月前半に、イギリスとスペインを訪問してきました。
これから紹介する「キャパシティ・ビルディング・ツールキット」を用いた5日間の
ワークショップに参加し、そのあと、スペインで始まった「地中海プロジェクト」の
視察に行ってきました。
これまで、MSC認証を取得する漁業の多くは、すでに高水準の資源管理を行なっており、
その取り組みをマーケットに評価してもらうためにMSC認証を取得していました。
現在は、少し違った視点から、MSC認証が注目されています。
それは、MSC認証制度を漁業の改善のために使うというものです。
今年8月、MSCの途上国チームは、キャパシティ・ビルディング・ツールキットを
発表しました。
これは、冊子とワークショップによって構成された一連の漁業改善のための
能力強化プログラムです。
こちらがその冊子。
400ページにわたり、MSC漁業認証の各評価項目に照らし合わせて、
実際の漁業がどのように採点されたかが細かく書かれています。
また、改善の事例やアドバイスも書かれています。

ロンドンで行われたワークショップでは、この冊子を用い、5日間かけて、
1ページ目から順番にさまざまな事例についてグループに分かれて考えました。
参加者は主にヨーロッパの行政関係者やNPO関係者。
漁業の専門家ばかりです。

ヨーロッパの漁業、とくに北欧の漁業は、最先端の資源管理を行なう成功事例として
日本でもよく知られています。
しかし、ヨーロッパ編②で紹介しますが、とくに地中海の漁業は、過剰漁獲が進んでいる
と言われています。
今回の参加者は、このツールキットを用いて、ヨーロッパの漁業改善に役立てよう
という目的で参加していました。
ところで、MSC認証を用いた漁業改善とは、どのように行うのでしょうか?
以前こちらのブログでMSCの審査プロセスを紹介しましたが、MSC漁業認証は
「予備審査」という審査からはじまります。
予備審査では、本審査と同じように審査員が現地を訪問し、漁業の採点を行います。
そして、本審査に入った場合に認証取得が可能か、認証取得が難しい場合は、
どの点を改善する必要があるのかといったことを明らかにします。
予備審査によって改善項目が見つかった場合は、認証取得に向けて改善を行なうわけです。

MSC漁業認証は、漁業にまつわる様々なことを3つの原則によって網羅しています。
原則1では、資源が豊富で、資源管理が有効に行われていることが求められます。
原則2では、漁業が環境に与えるインパクトについて問われます。例えば、混獲される魚種、ウミガメなどの絶滅危惧種、海底環境への漁具の影響、生態系全体のバランスなどが審査されます。
原則3では、漁業に関わる国内外の法的枠組みや、漁業内部の合意形成などが審査されます。
認証を取得するためには、これらの3つの原則が平均的に高いパフォーマンスを示している
ことが必要です。
どれか1つでも著しく欠ける事項があれば、それで認証はできなくなります。
実際の漁業改善においては、予備審査によって、各原則の項目を採点することから
はじまります。
もちろん、そのまま本審査に進み認証を取得する漁業もあります。
しかし、なんらかの課題が明らかになり、認証に向けて改善を行なう漁業も多いのです。
例えば、漁獲の際にたくさんの海鳥が巻き添えになっていることが明らかになった
漁業では、認証取得のために、漁具を改善し、海鳥が死亡しないようにすることも
あるでしょう。
また、混獲される魚種のデータがなく、混獲種へのインパクトが分からないことが認証取得
の妨げになっているような場合には、漁業日誌を義務付けるということもあるでしょう。
こうして、MSCの予備審査が終わり、本審査を目指すために、多くの改善が行われ、
それが漁業の持続可能性につながります。
私は今回、このツールを日本の漁業改善のために役立てたいと思い、
ワークショップに参加しました。
日本の漁業は、下のグラフで示すように、多くの水産資源が低水準の状態にあります。
少ない資源を多くの漁業者で獲りあっても、明るい未来は描けません。
まずは、水産資源を豊かな状態に戻すことが急務なのです。

私たちは、MSC漁業認証の制度が、日本の漁業を良くするためのツールとして使えると
考えています。
ヨーロッパの事例を参考にしてみてはいかがでしょうか?
予備審査についてもっと知りたい方はこちらのブログもお読みください!
次回、ヨーロッパ編②では、地中海の漁業改善に取り組み始めたスペインの事例を
紹介します。お楽しみに!
(下の写真は、ワークショップの参加者の集合写真です。)

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