【海洋ジャーナリスト瀬戸内千代の「もっと知りたい!MSC」】

~石原水産MSC認証取得! 記念連載その5~

連載の最終回は、MSC漁業認証を取得した主体である「石原水産」をご紹介します。

石原水産は静岡県の焼津で1964年から続く水産メーカーです。一本釣り漁船の第8永盛丸(株式会社永盛丸)と組んで2017年12月に審査に入り、2019年3月に、晴れてMSCの漁業認証を取得しました。

ある年齢層の方ならピン!とくる、あの、お酒のそばにあったキラキラしたおつまみ(ツナピコ)を発明した会社です。もう石原水産では作っていないそうですが、サイコロのような金や銀の包装を開けて味わった、マグロの甘辛煮の旨味が懐かしいです。

最盛期には1日40台もの大型バスが来たという石原水産の直売所「マリンステーション」の食堂が2018年に事務所にリフォームされ、今は本社ビルに。工場は、焼津市内と吉田町(静岡県榛原郡)にあり、順次MSCのCoC認証の審査を受けています。

CoC認証取得後は、いろいろな商品が、MSCラベル付きで発売される可能性があります。
では、石原水産の工場では、どんな商品を作っているのでしょうか。

例えば、高速道路のサービスエリアなどで買える「チーズかつお」のような、おつまみ。
この写真の右側に写っている市松模様のおつまみは、姉妹商品の「まぐろチーズ」です。
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そのほかにも、オリーブオイル100%で揚げた「かつおオリーブオイル揚げ」や、加工技術が光るマグロの生ハム(!)など、企画力を感じる商品が多いです。

かつて自社船を持っていた石原水産は、当時から基本的に、カツオ船が獲ってくるカツオやビンナガ、キハダを扱ってきました。

2019年1月に県内の御前崎市のかつお節会社(丸啓鰹節株式会社)のグループに入り、刺身、たたき(焼成)、揚げもの、佃煮、珍味と、もともと幅広かったレパートリーに、かつお節が加わり、ついに生カツオ以外のカツオ加工品を、ほぼ網羅!

このようにカツオとマグロ(ともにサバ科)の加工技術を磨いてきた石原水産ですが、MSC認証取得をきっかけに、新たなチャレンジを検討中なのだそうです。

「うちは煮炊きもできるので、せっかくMSC-CoC認証を取るなら、他の認証魚の取り扱いにもチャレンジしていきたいです。認証品の販路は魅力的なので」(石原水産営業部長の吉永勝彦さん)

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漁業認証審査に立ち会う吉永さん

なお、吉永さんによるとMSC-CoC認証は今、取得希望事業者が多くて審査が混んでおり、順番待ちの状態だそうです。

「MSC漁業が増えてきて、輸入中心とはいえ、扱う魚種が増えてきていますからね。他社も可能性を感じているのではないでしょうか」(吉永さん)

海から食卓へ「熱のリレー」を

吉永さんは、MSC認証を付加価値の一つとして、品質や味とセットで打ち出したいと言います。「商品に魅力を感じて買った結果、原料がMSCでした」という順番で、サステナブルな水産商品が広がっていくのが理想なのだそうです。

「まず売れる商品を作りたい」というお話に期待が膨らみますが、まだどんな商品が、いつ
海のエコラベル付きで売り出されるのかは未定です。

第8永盛丸が釣ってきた鮮度の良い一本釣りカツオは、「たたき」や「刺身」に加工する予定ということなので、夏に第8永盛丸が釣ってきてくれるビンナガの刺身あたりが期待値大でしょうか。MSC認証のビンナガが石原水産自慢の「生ハム」に変身する可能性もあり楽しみです!

毎日の買い物でメーカー名まで確認して買える自信がない消費者として、やはり手に取る目安となるエコラベルは重要です。

この連載の第1・2回目でご登場いただいた株式会社永盛丸社長の荒川さんは、第8永盛丸が獲ってきた魚に自信があるからこそ「最終的な願いは、MSCラベルの下に船名が付くこと」と語りました。

誇りある漁業者が、自分たちの獲った魚がどこで売られているのかわからず、色が悪くなるまでスーパーに並べられていても「撤去してくれ」とも言えず、もどかしい思いをしていることを知って、私も何とか見分ける方法はないものか、と思いました。

MSC日本事務所によると、MSCラベルが付いた製品にはコードも印字されているそうです。

そこで早速、近所のスーパーで買ったMSCエコラベル付き製品のラベル下に目を凝らすと、「MSC-C-xxxxx」という文字列がありました。


試してみた検索手順
MSCのホームページにアクセス>
右上のMenu(波3本のマーク)をクリック>「事業者の方へ」>「企業ーCoC認証」の右にある「+」をクリック(ここで文字をクリックしないこと)>「CoC認証企業を検索する」>(ここから英語サイト)中央下あたりにある「Certificate code」の欄にコードを入力


すると、英語ですが、「Japan」と国名の入った取得事業者の詳細情報が出てきました。しかし、漁業者名はわかりません。表示されていたのは、「CoCコード」で、ここから分かるのは漁業者ではなく製品の製造者やブランドオーナーの情報でした。

そもそも論として、取材時にも、「もし船名が商品に表示してあっても、それで分かる方がいるのか」「漁業者と一般の方々が交流する場がもっと必要だよね」というお話になりました。

第8永盛丸の漁船取材に同行してくださった石原水産の吉永さんも、水産メーカーの営業部長として、「あの漁業者たちの『熱』を、きちんとつなげないといけない」と語りました。

海の底力を信じる漁労長が率いる一本釣り漁船の第8永盛丸。そして、何番目であろうと良いことには参加する心意気あふれる水産メーカーの石原水産。この素敵なコンビで、日本のMSC認証漁業がまた一つ増えました。

これをキッカケに、漁業の現場と私たちの食卓をつなぐ糸が少しずつ太くなりますように!

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水産品の冷凍庫や加工場が立ち並ぶ焼津港は、水揚げ金額日本一(2017年)。日本一の山・富士山の姿も拝めます


               

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