こんにちは。漁業担当の鈴木です。
前回に続き、中国の水産業についてお伝えします。

前回のブログでは、中国が新たな漁業管理制度を導入することによって持続可能な漁業に転換していこうとしている様子を紹介しました。
もちろん、中国の漁業の現状は過剰漁獲が深刻な問題になっていますし、水質汚染など他の問題もあります。
でも、そうした現状を認めたうえで、より良い方向に変えていこうという動きがあることは、前向きにとらえて良いのではないでしょうか。

さて、MSCも、中国での持続可能な漁業の広がりに向け活動しています。

MSC中国事務所は北京にあり、4人のスタッフが働いています。
  • プログラムディレクターの安延(An Yan、通称Ann)
  • シニア漁業担当マネージャーの岳昊(Yue Hao、通称Sam)
  • コマーシャル・マネージャーの李洋洋(Li Yangyang)
  • コミュニケーション・マネージャーの高蕊(Gao Rui)
また、本部ポリシーチームに所属するCarlos Liuが、CoC認証の担当として青島で働いています。
MSC China
左から、安延、岳昊、李洋洋、高蕊。MSC20周年の記念写真。©MSC中国事務所

プログラム・ディレクターのAnnは、2013年にMSC中国事務所を立ち上げ、中国の持続可能な水産業をリードしてきました。
中国政府、水産業界に幅広いネットワークを持っています。
昨年2016年には、中国のSNS上で、「中国の水産業界で最も影響力のある人物」の第1位に選ばれました!
An Yan
プログラム・ディレクターの安延。©MSC中国事務所

中国の漁業改善に深く関わっているのは、シニア漁業担当マネージャーのSamです。
広い中国の漁業を一人で見ているので、同じ漁業担当の私はいつも「すごいなあ」と感心しています。
RS4521_1J4C1941
青島でのシーフードショーでスピーチを行っているSam ©MSC中国/Gao Rui

中国で認証を取得している漁業はいまのところ2つです。
大連を拠点とする獐子島グループ(Zoneco)のホタテ漁業と、深圳市聯成遠洋漁業有限会社のグループのクック諸島でのはえ縄によるビンナガマグロ・キハダマグロ漁業です。
どちらも2015年にMSC認証を取得しました。

他にも、認証に向かって改善を行っている漁業があります。

WWFジャパンとWWF中国は、中国遼寧省東港市のアサリ漁業の漁業改善プロジェクト(FIP)を行っています。
東港市は黄海の北部に位置し、7万ヘクタールにわたる干潟が広がっています。
この広大な干潟でアサリをはじめとする二枚貝が生産され、約100社の水産加工業者によって加工されています。
今年6月にはステークホルダーによる会議が行われ、MSC中国は認証制度の説明など、技術的なサポートを行いました。
この会議のなかでは、審査員やステークホルダーによって行動計画が策定され、今後より持続可能な漁業に向かって改善が行われます。

また、中国南部のザリガニを対象とした漁業が、2020年のMSC認証の規準を満たすことを目標にして、漁業改善プロジェクト(FIP)を行っています。(英語の詳細はこちら
ザリガニは中国では「小さな伊勢海老」と呼ばれて人気食材になっています。
このプロジェクトは、ヨーロッパの小売業や国際基金によって支援されており、地元の漁業者のキャパシティ向上の機会を提供し、ザリガニ漁業の実践をMSC認証を満たすレベルにまで向上させていきます。

前回のブログでも紹介したように、中国では沿岸漁業に対する規制を強化し、沿岸域の水産資源を回復させようという動きがあります。
Samは中国の漁業管理当局、中国漁業協会、科学者たちと協力しながら、こうした漁業の持続可能性プログラムを通じて、このような動きを推進しようとしています。
とくに、今年は研究者やステークホルダーに向けてMSCの審査についてのワークショップを開催し、MSC認証や関連するツールに対する理解を深めていきます。
(中国でのワークショップの様子は、今後このブログで紹介する予定です)
ザリガニ漁業
漁業改善プロジェクトを行っている中国のザリガニ漁業 ©️MSC/Yue Hao

一方、中国国内の持続可能な水産物のマーケットの広がりも顕著です。

中国のCoC認証(流通加工認証)の数は、300社を超えており、アメリカ、ドイツに次いで第3位となっています。これは、中国が世界最大の水産加工国であることと関連しています。つまり、MSC認証を取得した水産原料をアメリカなどから輸入し、フィーレや最終製品に加工したうえで、MSC認証水産物としてヨーロッパやアメリカなどに輸出しているためです。
国別CoC認証取得企業数-China
一方、国内での認知度はいままでそれほど高くありませんでした。
中国でのMSC水産物の流通はほとんどが海外向けだったということです。

でも、その状況も変わりつつあります。

最近では、多くの企業がMSCの「海のエコラベル」を国内向け商品に使用するようになりました。
また、多くの企業が持続可能な水産物の調達方針を発表するようになっています。

今年6月8日の世界海洋デーにおいて、アリババの子会社で中国最大のEコマースの企業であるTmallは、「2020年までに扱う水産物の20%を認証水産物にする」という方針を発表しました。
シャングリラ・ホテル・グループやOleも、同様の調達方針を発表しました。
(詳しい内容は、こちらのニュースリリースをご覧ください)

今後、中国国内でもMSC認証水産物が本格的に流通していくことになりそうです。

また、水産物の持続可能性に対する関心も、だんだんと高くなってきています。
2014年から行われているサステナブル・シーフード・ショーは、今年で4年目になりますが、毎年規模が拡大しています。
今年は、8月4日~18日の2週間にわたり、北京、上海、深圳、成都などの27都市で、合計14ものイベントが行われました。
Vanguard傘下のOle、RTマート、ウォルマート、メトロ、イオン、成都イトーヨーカドー、Rainbow、シティ・スーパー、シティ・ショップ、IKEA、西貝レストランなど、およそ100店のスーパーマーケットやレストランで店頭イベントが開催されました。
また、E-コマースのSFbest.com、新しい小売であるHema Fresh、高級ホテル・チェーンのハイアットやシャングリラもこのプログラムに参加し、多大な支援がありました。
深圳の Rainbowでの料理ワークショップ
深圳のRainbowでの会員制料理ワークショップの様子。シェフの左で「海のエコラベル」の説明をしているのはコマーシャル担当の李洋洋。©MSC中国事務所

成都のイトーヨーカドーでの開会式
成都のイトーヨーカドーでの開会式の様子。©MSC中国事務所

北京では、地下鉄の各所に大きく看板が展示されました。
上海空港と深圳空港、複数の都市の地下鉄でも、イベント広告が張り出され、
全国69都市の459箇所の映画館で、4504ものスクリーンにMSCの広告が出されました。
北京の地下鉄での広告
北京の地下鉄での広告
北京の地下鉄での広告の様子 ©MSC中国事務所

中国では伝統的にコイなどの淡水魚の料理が多く、海水魚はあまり利用してきませんでした。
しかし、経済発展や冷凍輸送技術の発展により、内陸部でも海の魚を食べるようになってきています。
それだけに、水産資源の持続可能性にも、だんだんと関心が高まっていくのではないでしょうか。

MSC認証の広がりは、もはやアメリカやヨーロッパだけのものではありません。

欧米では、1990年代から、消費者のあいだで持続可能な水産物への関心が高まりました。
そうした消費者の関心によって1997年にMSCが誕生し、MSC認証を取得する漁業も広がっていきました。
MSC認証水産物が市場に出回るようになることで、消費者の関心はさらに高まり、そのマーケットの力で漁業の改善が行われていきました。

消費者の関心の高まりと、漁業の改善と認証水産物の増加が、相乗効果となって良い循環を生んでいるのです。

中国でも、その兆しが見えてきました。消費者の力で、自国の漁業が改善するようになっていくかもしれません。

ロンドン本部のHannahと中国事務所のSamが協働で開催した、中国でのMSCワークショップの様子も、近々ご紹介します。
MSC日本事務所の漁業担当オフィサーである高宮城が参加して感じてきた、熱気をお伝えします!

               

MSCに関する詳しい内容は、下記までお問い合わせください。
MSC日本事務所サイト:http://www.msc.org/
Facebook: https://www.facebook.com/MSCJapan

東京都中央区日本橋兜町9-15 兜町住信ビル3階
03-5623-2845
japan@msc.org

               

MSC日本事務所のフェイスブックページに「いいね!」をお願いします。
https://www.facebook.com/MSCJapan 
FB