【海洋ジャーナリスト瀬戸内千代の「もっと知りたい!MSC」】

こんにちは。海洋ジャーナリストの瀬戸内千代です。
前回に引き続き、MSC日本事務所の石井さんと鈴木さんに、MSCの認証制度についてさらに深く伺っていきます!
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科学データに基づいて審査

MSC漁業認証の審査の3原則は「資源」「生態系」「管理」。
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MSC漁業認証、3つの原則 ⓒMSC

資源や生態系の持続可能性の根拠は、複数の研究・調査機関の科学データや分析です。

「海の中に魚がどれぐらいいるのか、どのぐらいの漁獲に抑えれば資源の再生産が可能かといった量を科学的に求め、それに基づいて漁業をするというのが理想です。MSCではそうした考えに沿って審査基準を定めています。また、混獲種への影響や、獲り過ぎた場合の漁獲調整規則の有無や内容も審査対象です」(鈴木さん)
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ⓒiStock.com/lemga

混獲種というのは、対象魚種に交じって獲れてしまう魚や動物。
それらの生息状況を確認したり、貴重な生態系を避けるように配慮して操業したり。
周辺への影響も全部ひっくるめてサステナブルでないと、MSC認証は取れません。

審査は28項目。認証機関が提出項目のリストを用意し、それに合わせて申請者が書類をそろえます。
自治体の管理指針や資源評価表のようにウェブで公開されている資料もあれば、水産試験場や水産庁から取り寄せる書類も。
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MSCの持続可能な漁業のための原則と基準 ⓒMSC

全項目をイチから現地で調べるわけにはいかないので、審査は最初は書類ベース。
その後、2~5日間の現地訪問があります。
専門分野の科学者4、5人から成る審査チームに、通常1人は日本からの審査員が入ります。
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認証機関の現地訪問の様子 ⓒMSC

管理システムも確認するため、管轄漁協や水産試験場や行政を訪れたり、大学の先生やNGOに話を聞きに行ったり、審査は海辺だけでは終わりません。
認証費用が高額になるのも納得の丁寧さです(MSC認証審査プロセスガイド参照)。

漁業の審査にかかる費用と期間は?

実際のところ、漁業認証の取得には、いくらかかるのでしょうか。

MSCはラベル使用料や寄付を原資に、審査基準をつくって管理するとともに、認証制度の普及に努めている非営利組織(過去ブログ参照)。
実際に審査を行うのは認証機関でありMSCではないので、漁業者が支払った金額の話は、普通はMSCスタッフの耳には入らないそうです。

とはいえ、だいたい1件数百万円とのこと。決して安くはないですが、厳格で透明性の高い審査を行うためにはどうしてもそれなりの費用がかかるそうです。

取得にかかる時間は、1年~1年半。審査が長引くほど費用がかさむので、最短で終われるよう、申請漁業者の99%が事前に3カ月ほどの「予備審査」を受けるそうです(詳細は鈴木さんの過去ブログ参照)。
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ⓒMSC

「本審査に入った漁業名は世界に公開されますから、予備審査を受け、認証の取得がより確実になるよう改善して本審査に入る漁業が多いんですよ」(鈴木さん)

漁業認証の審査には、国内外の補助金を利用することもできます。
いくつかの漁業者が複数まとまって審査を行えば、個々の負担を減らせます(詳しい相談はMSC日本事務所へ)。

来年(2018年)には、多魚種漁業により適した審査体系も完成予定。
さまざまな魚を少しずつ獲る多くの日本の漁業者が、MSC認証にチャレンジしやすくなりそうです。
認証制度側も、門戸が拡がるよう、いろいろと模索しているのですね。

もう一つのMSC認証

MSC認証には、漁業者向けのMSC漁業認証ともう一つ、流通・加工関連企業向けのMSC-CoC認証があります。

CoC認証は、認証水産物と非認証水産物を確実に分けて管理・流通するとともに、認証品のトレーサビリティー(追跡可能性)を確保するためのもの。
サプライチェーンにおいて、当該認証水産物の所有権を持つ全ての企業がこの認証を取っていないと、商品にMSC「海のエコラベル」を表示できない厳格な仕組みになっているんです。
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MSCミニリーフレット「認証のしくみ」より ⓒMSC

では、こうした認証は、一体どこが行っているのでしょうか?
次回はさらに深い話になっていきます。お楽しみに!


               

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