【海洋ジャーナリスト瀬戸内千代の 「もっと知りたい!MSC」】

はじめまして。海洋ジャーナリストの瀬戸内千代です。
取材でMSC日本事務所の皆さんと顔を合わせるうちに、ここに書く機会をいただきました。
いち消費者としてのハテナを携えて、MSC関係者や関連会議、取得漁業者さんの現場などを訪ね、レポートします。

初回は、東京・日本橋にある「MSC日本事務所」にお邪魔して、MSCという組織について改めて聞いてきました。
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ⓒMSC

MSC日本事務所とは?

今年は、ちょうどMSC設立20周年、日本事務所10周年という節目の年。めでたいですね!

私は国内で過去7年ほど、折に触れてMSCのことを取材してきましたが、最近、これまでになくMSC関連のセミナーやイベントがにぎやかになったのを実感しています。
店頭でも、もっとMSCラベルを見かけたいなと思っています。
pollock roe in Aeon
ⓒMSC

さて、「エム・エス・シー」と聞くと、何を思い浮かべますか?
私は当初、MSC認証制度や、その象徴の青い「海のエコラベル」ばかり連想していました。
でもMSCって本当はラベルの名でもなければ、認証を与える主体でもなくて、この認証制度を管理・運営している海洋管理協議会という組織の略称なんですよね。
MSC コーポレートロゴRGB
改めてMSC日本事務所代表でプログラムディレクターの石井幸造さんにお聞きしたところ、
  • ロンドンにあるMSC本部は英国政府公認の慈善事業団体
  • MSC日本事務所はMSC本部の日本での窓口(法人格を取っていない)
とのこと。非営利なのでNPO(Nonprofit Organization)ですが、法人格はないので、いわゆる日本のNPO法人ではありません。

英国政府ホームページ(登録済みチャリティー団体一覧)でMSCを検索すると、登録ナンバー1066806として「MARINE STEWARDSHIP COUNCIL(海洋管理協議会)」が出てきます。これがロンドンにあるMSC本部で、その日本の窓口を2007年に一人で開いたのが、石井さんというわけです。
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以下、浅野さんの過去ブログと少しかぶりますが、お聞きした経緯をまとめると……

神戸出身の石井さんは、海の近くでハマチやウニなどおいしい魚介を食べて育ちました。
下関にある水産大(現・国立研究開発法人水産研究・教育機構 水産大学校)で漁業や水産資源管理を専攻し、食品会社に就職。
約10年の会社員生活を経て、一念発起、米国インディアナ大学ブルーミントン校に留学して、2年間、大学院で環境政策学や自然資源学を修めました。
帰国後は途上国の開発コンサルタントに。水産関連を含む複数のプロジェクトを立ち上げた経験を生かし、2007年にMSC日本事務所を開設しました。
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石井さん1人でスタートしたMSC日本事務所。写真は2011年当時のもので3名体制のころ。ⓒMSC

仕事の海外出張先でMSCを知り、「この仕組みこそ日本に必要!」と直感、事務所開設は、その翌年だったというから驚きです。

「海の環境のことに携わりたいという思いは常にありました。魚の資源を将来まで残すためにMSCの仕組みは非常に有効なので、もっと皆さんに知ってもらって、さらに普及していきたいと思っています」と、まっすぐ語る石井さん。数十年来の情熱を今も貫いています。
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「MSCは欧米のものでしょ?」という意見をたま~に耳にしますが、現在は南アフリカ共和国やチリにも、アジアでは日本のほか北京とシンガポールにも、地域事務所があります。さらに、ロシア、ブラジル、韓国でも活動が始まっています。
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中国の小売店にて撮影 ⓒMSC/Fang Qing

未来世代に魚を残す!という同じ目標(MSCの「ビジョンと使命」参照)に向かって、国境を越え、海洋という一つの資源を共有する世界各地の人々が手を取り合っている。そんな印象のグローバルなMSCに、欧米vs.日本といった構図はそぐわないと感じます。確かに英語表記が多く、個人的には辛いのですが……。

「情報を全世界に公開して広くコメントを募るプロセスが必要な国際的な認証制度なので、基本は、やはり英語になってしまうんですよね~」(石井さん)
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ⓒMSC

MSC日本事務所のスタッフは徐々に増え、現在7人。皆さん英語が堪能です。
いつも公式メールマガジンなどで、世界の持続可能な漁業に関する最新ニュースを翻訳して配信してくれます。
英語に壁を感じる記者にとって、日本事務所さんは無くてはならない存在です。

MSCの収入源はラベル使用料

社会貢献を継続し、スタッフを養うためには、お金が必要です。寄附が資金源という非営利組織が少なくありませんが、理想は、安定的に自力で賄うこと。MSCの場合は、どのように資金を確保しているのでしょうか?

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「MSC年次報告書2015年度」p43より

「製品にラベルを使う時にお支払いいただいているラベル使用料が、活動の原資の73%を占めています」(石井さん)

ラベルを貼るのは義務ではなく、業者間でラベル無しで流通しているMSC商品も多々あるそうです。消費者向け製品などで表示を希望する場合のみラベル表示企業が支払うのが、ラベル使用料です。

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右はMSC日本事務所・漁業担当の鈴木允(まこと)さん。

「原資の残りは主に寄付と助成金ですね。米国のIT企業ヒューレット・パッカード社関連のデイビッド・アンド・ルシール・パッカード財団やスーパーマーケットのウォルマート関連のウォルトン・ファミリー財団など、大きな助成団体から比較的まとまった援助を得ています」(石井さん)

これは、日本をはじめ世界各地に20カ所近くの窓口を持つMSC全体の統計です。
年次報告書の「資金援助」のページを見ると、欧米の財団に並んで、民間企業として、中国企業(海魁水産)の名前も挙がっています。今のところ、アジアの出資者は、そこだけのようです。
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日本事務所が翻訳してウェブで公開している「MSC年次報告書2015年度」の表紙。MSCという組織のことがよく分かります。
※最新の年次報告書は、ココからダウンロード可


3年後に東京五輪が迫っています。
前々回のロンドン大会や前回のリオ大会で、持続可能な水産物の証として採用された海のエコラベル(MSCラベル)に注目が集まり、MSC日本事務所は、これまでにない活況を呈しています。
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リオ五輪の選手村に飾られたMSCのバナー ⓒMSC

日本で5都道府県・15魚種が同時に予備審査に入っている状況は、設立以来はじめてだそうです。
MSCと、大学や企業とのコラボイベントも回を重ねています。
そのうち出資者の一覧に日本の大企業や財団も登場するかもしれませんね。

次回は漁業担当の鈴木さんも交えて、MSCの認証基準や取得手順を伺います!

               

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