漁業担当の鈴木です。

前回のブログでは、MSCの予備審査を活用した漁業の改善が世界で注目されているという
ことを書きました。

予備審査とそれに続く改善のプログラムは、2010年頃からイギリス沿岸漁業で
大規模に行われています。
また、現在、「地中海プロジェクト」と呼ばれるプロジェクトがスペインとフランスで
始まりました。
日本でも同様のプロジェクトができないか?
日本で進行中の予備審査を、どうしたら次につなげていくことができるのか?
そうしたヒントを得るため、ロンドンでのワークショップ終了後にスペインを訪れました。

2日間のスペイン滞在中、1日目は首都マドリードにあるMSCスペイン事務所を
訪問しました。
まず、マドリードのスーパーマーケットや市場を案内してもらい、スペインの
水産事情を教えてもらいます。
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スペインでは、ほとんどの人が魚屋さんで魚を買うそうです。
いろいろな種類の魚が並んでいます。
スペインの人たちが魚を買う際にもっとも気にするのは、なによりも鮮度!
日本と同じですね。
中央の黒っぽい細長い魚はヘイクという白身魚で、スペインで最も食べられている
魚だそうです。

事務所に戻った後は、「地中海プロジェクト」の概要について説明を受けました。
Project Medfish
「地中海プロジェクト」は、2016年2月にMSCと世界自然保護基金(WWF)によって
始まりました。

大陸に囲まれた内海である地中海は、生物多様性に富む、生態学的に見て非常に
重要な海域です。
しかし、水産資源という観点からみると、状況はあまり良いとは言えません。
多くの国々によって利用され、しかも、小規模漁業がほとんどを占める地中海では、
水産資源の状態に関するデータがあまり得られません。
得られるわずかなデータによると、地中海の水産資源の88%は過剰に漁獲されていると
いいます。

地中海を取り巻く国々には、スペイン、フランス、イタリア、ギリシャ、トルコ、
エジプト、リビア、アルジェリアなどたくさんの国があります。
その中で、最初のステップとして、今回はスペインとフランスの2か国で行われることに
なりました。

独立した認証機関(審査会社)に審査を依頼する形で、地中海プロジェクトは
3つのステップに沿って行われます。

ステップ1:スペイン・フランスそれぞれの国の地中海での漁業について、どこでどんな漁業が行われているかを地図上に記入し、どの漁業でプロジェクトを実行するかを検討する。
(スペインでは、11漁法、233魚種に対して検討が行われました!)
ステップ2:スペイン・フランスそれぞれ7漁業ずつを選び出し、予備審査を行なう。
ステップ3:予備審査の結果に基づき、改善のための行動計画を作成する。

認証機関は、スペインではアコーラ社、フランスではSAI社が選ばれました。

認証機関の審査員は、スペイン・フランスの両国で、それぞれ6名が選定されます。
MSC漁業認証に精通し世界の漁業で審査経験のある審査員が3名、両国のローカルな
漁業に精通している審査員が3名の計6名という内訳です。

スペインで予備審査の対象として選ばれたのは下の地図の7漁業。
漁法は、底曳網、まき網、地引網、かご漁など、魚種はエビ、ヘイク、ボラ、
カタクチイワシなど。
魚種、漁法、場所など、なるべく様々な漁業が審査対象になるように選ばれました。

今回は、たまたま翌日にリヨン湾のヘイクのはえ縄漁業(地図のC)の予備審査が
行われるので、同行させてもらうことになりました。
(ヘイクは、上の魚屋さんの写真の中央に写っている魚です)
Project Medfish - Spain


2日目は早朝に特急列車でバルセロナに移動しました。
まず訪問したのは、バルセロナにあるカタローニャ州の農業省です。
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漁業・海事部の部長と担当者に、漁業管理について話を聞きます。
左から、農業省のロザリオさんとジョルディさん。
右はアコーラ社の審査員、ルシアさん。
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次に訪れたのが、ローゼス港。
この港町で行われているはえ縄漁業が審査の対象です。

写真ははえ縄船の船。小さな漁船が所狭しとならんでいます。
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予備審査の聞き取りが始まりました。
審査員のルシアさんが漁業者さんに操業海域について質問をしています。
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予備審査では、操業ルールや、ヘイクの資源状態、混獲される魚種、海底環境など、
さまざまなことが聞かれます。
聞き取りは暗くなるまで続けられました。
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MSCスペイン事務所の漁業担当のカルロス(左)から、今回のプロジェクトの目的と
今後の予定について説明もありました。
ローゼス漁協では、今後、予備審査の結果に基づいて漁業改善に取り組んでいくことに
なります。
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ローゼス漁協では、スペインでも先進的な取り組みをいくつも行っています。
たとえば、民間企業と合同で水産加工会社を設立し、一次加工をして販売をしています。
また、残った魚のアラをスープにして販売しはじめました。(写真)
スープの瓶詰のキャップのデザインは、漁協オリジナルのロゴで、これによって
差別化をはかっているそうです。

「こんなにいろいろやっていたらきっと儲かっているんでしょうね?」と聞くと、
案内してくれた漁業者の方は、「儲かるわけじゃない、生き残るために
やっているんだよ」と答えてくれました。
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「こうやって将来を見据えていろいろやっている漁協だから、
MSCのプロジェクトにも協力的なんだよ」とカルロス。
地中海プロジェクトを経て、ローゼス漁協の漁業がさらに発展していくことを
願ってやみません。
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