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2020年7月24日の東京オリンピック開会式まで、ちょうどあと5年になりました。

新国立競技場の設計が大きな話題になっていますが、
それ以外にも、さまざまなことが議論されています。

会場における食材提供もそのひとつです。

「和食」が世界遺産に登録され、ますます注目を集めています。
寿司や刺身は外国人にも大人気。
東京オリンピック・パラリンピックでは、ぜひ、日本の魚でおもてなししたいですよね。

東京大会の立候補ファイルでも、「オリンピックプラザ」というおもてなし施設を作り、
和食の提供を含め、海外からのお客様に日本文化を味わってもらうことになっています(150頁)。

しかし、今のままでは日本の魚でおもてなしするのは難しいのでは?という声があります。

それは、水産物の持続可能性の問題です。

このブログの読者のみなさんはご存じの方も多いと思いますが、
環境や健康に配慮した食材以外は、会場で出すことが出来ないというのが、
最近のオリンピック・パラリンピックの大会の潮流です。

1994年のオリンピック会議にて、「オリンピック憲章」に次のような条項が新たに加えられることになりました。

環境問題に対し責任ある関心を持つことを奨励し支援する。
またスポーツにおける持続可能な発展を奨励する。
そのような観点でオリンピック競技大会が開催されることを要請する。

                (オリンピック憲章 第1章第2節第2項)

これ以降、「文化とスポーツ」に加えて「環境」がキーワードとして加わり、
環境と持続可能性に配慮した大会運営をすることが義務付けられるようになったのです。

なかでも2012年のロンドン大会は、「史上もっとも持続可能な大会」を目標に掲げました。
そして、設備の再利用、ごみの排出などあらゆる側面にわたって、
環境へのインパクトを最小限に抑えようという試みが行われました。
その取り組みの一環として、ロンドン大会では水産物を含む食料の調達基準が定められました。

リオデジャネイロ大会でも、同様の食料調達基準が発表されています。

これらの食料調達基準は、肉・野菜・乳製品など品目ごとに細かく決められています。
水産物も、もちろんそのうちのひとつです。

ロンドン大会では、「すべての魚は持続可能性を客観的に示せるものとする」という方針を掲げました。
具体的には、次のような内容となっています。
  • 天然の魚は、FAO「責任ある漁業のための行動規範」に合致した漁業で取られたものとする
  • MSC認証を取得した水産物を積極的に提供する
  • 海洋保全学会の「食べるべき魚」リストに掲載された水産物を積極的に提供し、「避けるべき魚」リストに掲載された水産物は提供しないようにする
2016年のリオデジャネイロ大会では、調達基準をさらに高めました。
「大会中に会場内で提供される天然由来の水産物はすべてMSC認証を取得したものとする」ことが決まりました。
2013年に、リオ組織委員会とMSCが包括的な覚書を交わしたのです。

じつは、東京大会の食料調達基準は、まだ定められていません。
MSCとしては、東京大会でも、持続可能な水産物が提供されるよう働きかけを行っています。

ところで、現在、国内ではMSC認証を取得している漁業は2漁業しかありません。

このままでは、輸入した魚しか出せないということになりかねません。
世界有数の水産国である日本で、こんなお寿司を出すのはやっぱり恥ずかしいですよね。

MSC寿司ー3

でも、幸い日本でも新たにMSC認証を目指す漁業が増えてきました。
現在、宮城県のカツオ・ビンナガマグロ一本釣り漁業がMSC認証の審査中です。
また、審査の準備をしている漁業も複数あります。

MSC認証取得を考えている漁業者さんからの問い合わせも増えてきました。

日本の水産物を使い、国際的な認証によってしっかりと持続可能性を示しつつ、日本の料理でおもてなしする。
そんなオリンピック・パラリンピックを目指したいと思います。


もちろん、5年後の東京大会は、短期的な目標にすぎません。
大事なのは、そのあとです。
国際認証取得によって、海外マーケットに進出したり、国内の新しいお客さんを見つけたり。
そうしたビジョンを描けることが、MSC認証取得のメリットです。

何よりも、魚がいなくなってしまったら、魚を獲ることも、魚を食べることもできません。
MSC認証取得を目指し、持続可能な漁業に転換していくことは、
これからも魚を獲り、魚を食べていく、私たちの未来に向けた大きな贈り物になるのです。

私たちMSC日本事務所は、オリンピック・パラリンピックの大会後に何を残すか?という視点をもち、これからも活動を続けていきたいと思います。

               

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